経営管理力と品質管理力

経営管理力と品質管理力の組合わせで、次の2つのケースを考えてみましょう。
第1に「経営管理力は弱いが品質管理力は強い」会社の場合で考えられることは、ISO9001の取得は努力すれば可能であるが、経営者の意識を相当高めなければなりません。ただ、程度の差はあっても、品質管理のP-D-C-Aのサイクルを回すだけの力がすでに備わっていますので、相対的に経営管理が弱いと判断しているだけで、実は相当の経営管理力を有していると考えることもできます。
第2は、逆に「組織的な経営管理が行なわれているが品質管理力が弱い」企業はどうでしょうか。残念ながら、そのままでは受審することはできません。つまり、キーマンとなる品質保証責任者が実力を備えて機能していない組織では、ISO9001は受審資格要件が整っていないといえます。ISO9001では、品質管理責任者の権限と責任の明確化、文書管理の徹底、品質記録の必要性を唱えています。
それでは、なぜ品質管理力が弱いのでしょうか。自社オリジナル製品を開発、製造、自社販売している電子機器メーカーの会社の例では、これまで地位と肩書きのある品質保証責任者が存在していないことがその理由に挙げられます。  組織上の品質保証担当者は、製造部長の指揮下で実務を行なっており、全社的な品質管理はもとより、統計的な品質保証すら行なっていない。つまり、品質保証の実務者はいても管理者がいない。多くの中小企業に見受けられるケースです。
多くの中小企業では経営管理力、品質管理力のいずれも弱い、”管理”の概念すら乏しいのが実情です。このような企業ではISOを取得することをよい機会として、組織的に経営管理体制を構築しなければなりません。