プレス加工業への適用例

精密板金加工は、「精密板金」や「板金加工」とも呼ばれます。これら加工品の主な用途は、産業機器の本体や内部部品、パソコンのケース、オーディオなど、様々な分野で使用されています。

精密板金、板金加工、レーザー加工、溶接、試作、量産、組立、配線など、顧客ごとに異なった要求事項に対応して行く事により多くの精密板金の加工技術やノウハウを蓄積することができます。
また、様々な金型の組み合せ次第で複雑な形状でも加工が可能です。
さらに、関連する表面処理、印刷、彫刻、機械加工、樹脂加工、配線等の品質管理も多くの事例の積み重ねることで、管理レベルのアップが可能となります。

金属板で作る箱(BOX・シャーシ・筐体)

精密板金加工は、鉄板・アルミ板・ステンレス板・銅板などの薄い金属板を使っていろいろな物を作ることができます。
例えば、鉄板(SPCC)を使って作った箱ですが、底面にはバーリングタップやウエルドスタットなどの加工をして表面には三価クロメートメッキ(クロムフリーメッキ)がついています。
ウエルドスタットは、ネジやスペーサーを金属板に溶接する加工です。
ネジやスペーサーが箱に固定されているので、プリント基板や部品などの取付け作業がとても楽になります。

  • ステンレス板のエッジ(切断面)処理

ステンレス(SUS)製シャーシ(箱・ケース)のステンレス板のエッジ(切断面)処理についてです。 ステンレスは表面に光沢もありそのままでも十分綺麗なので表面処理(塗装やメッキ)などをせずに使用されることが多い材料です。 ステンレス板は板の厚さが薄くなればなるほどカミソリに近い状態になることも特徴の一つです。 加工をしたまま切断面に何も処理をしない状態で扱うと人の手や配線などが触れて事故の原因にもなります。 そこで、切断面に出来たバリや鋭角な部分をヤスリなどで仕上げて取り除くのが一般的な方法ですが、板の厚みが薄くなると仕上げをすることによって切断面がさらに鋭くなって危険になる場合もあります。 その様な場合は切断面が表に出ない様に折り曲げて内側に向けてしまう方法と、 切断面にカバーを付けてしまう方法があります。 単純に仕上げただけの切断面とは違い完全に切断面を隠すことが出来ます。

サーバー用のシャーシ(箱・ケース)

ステンレス(SUS)の板金材料を使って作ったサーバー用のシャーシ(箱・ケース)です。ステンレスは腐食しにくい材料です。光沢もありそのままの状態で十分綺麗なので表面処理(塗装やメッキ)などをせずに製品として使用されることが多いです。 ラック内に数多くが収まるサーバー用のシャーシ(箱・ケース)の場合、ステンレス板を材料とする場合は外観や内側にキズが付かない様に注意します。また、特に注意すべき所は材料切断面のエッジの処理(バリ取り)です。 NCT加工機は「せん断」(引き千切る様な切り方)と言う材料を金型で押し切る加工をしています。 打ち抜く表面側はなだらかなカーブが付き切断面の裏側は引きちぎった様なバリが残り刃物に近い状態になります。 レーザー加工機の場合はNCTの様なバリは残りませんが、表も裏も切断面のエッジは鋭くなるのでやはりそのままではケガをする可能性は高いです。人の手が多く触れる様な処にステンレス(SUS)を使う場合は十分なエッジ処理を行う必要があります。

電子機器のプリント基板(PWB、PCB)のレールを板金で加工

電子機器のプリント基板は、電子部品を固定して配線するための主要な部品のひとつで多くはビス止めによって装置内に固定されています。 基板は一度固定したら取り外すことが無いのでこの方法が主流ですが、メンテナンスやオプションなど後から基板を取り外したり追加する必要性がある場合は、ビス止めでは作業性が悪くなります。 そこで、外部から基板の抜き差しが容易になる様にビス止めはせず基板を差し込む溝が付いたレールを使います。 マルチブラケットはレールとして使用せずに基板を固定する為の金具の役目もします。アイディア次第で色々な使い方が出来る金型です。

自動車載用のシャーシ(箱・ケース)

最近の自動車は電子制御が増え、多くの電子制御BOXが搭載されています。自動車用は人命に関わることから厳しい品質管理が求められます。 また振動、温度など過酷な環境で使用されるため耐環境性能や電磁波など誤作動防止などの観点からも要求があります。また、製品重量の軽量化、コスト削減の要求も毎年きびしい要求に対応していかなれればなりません。これらの要求事項に対応するには、製品を作り込む製造技術のみならず、品質を管理するマネジメントシステムが重要になっています。

LED用照明フードの成形加工

LED照明はここ数年で急速に普及してきました。3.11東日本震災以降、地球温暖化防止や省エネ推進の観点からも成長分野です。LEDから発生する熱の問題や光の指向性、耐久性、施工性、保守性など加工に求められる仕様が高度化しています。 例えば、LED用照明フードの成形加工は、暗い場所などで使用する装置などに照明用のフードとして使用されています。 成形部(板金の膨らんだ部分)の内側にLEDや豆球を入れる事によりその下部を照らします。 屋外ではインターホンや電子錠のテンキー上部に屋内ではスタジオ関連の装置や停電時に装置の操作面を照らすなど使われ方は色々です。

プレスブレーキ :金属板を曲げる

精密板金加工で重要な部分とも言えるのが曲げる作業です。

平らな金属板(鉄板・ステンレス板・アルミ板・銅板・など)を曲げて立体に変えていくので角度や曲げる順番など複雑な作業になります。

金属板を曲げる為にはプレスブレーキと言う専用の機械を使います。 曲げる為の金型は上金型と下金型に分かれ上金型は先端がV字に尖った形をしており下金型は上部がV字にくぼんだ形状になっています。

一見曲げるという作業は単純に見えますが、金型の選定や金属板の圧延方向(ロール目)板厚の微妙なバラつきや機械の圧力の掛かり方など経験を含めた技量が必要となる重要な作業です。

複雑な形状をした製品の場合は曲げる回数が多くなり曲げる順序を間違えると曲げられなくなってしまう場合もあるので、その様な場合は作業前に曲げる順番シュミレーションを行います。

ベンダーまたはプレスブレーキ

金属板(鉄板、ステンレス板、アルミ板、銅板など)を曲げる加工機をベンダー又はプレスブレーキと呼ばれています。 昔は金属板の曲げたい位置に直接線を引いてベンダーの金型がその線の上に来る様に手で位置を微調整しながら曲げていました。

目視と手で曲げの位置を微調整するといった精度の悪い加工から解放されたのが、バックゲージ(突き当て)と呼ばれる曲げ位置を決める補助装置の登場でした。

曲げの金型と並行な位置にあって前後に移動します。 バックゲージが出たての頃は手動だったので1曲げごとに作業者が機械の裏に回ってハンドルを回して寸法を決めていました。 現在はプログラムで幾つもの曲げ工程を記憶して自動でバックゲージが移動するので精度と作業性は各段に上がっています。

深い曲げや複雑な曲げ加工

精密板金加工には「曲げ」というプロセスがあります。 金属板(鉄板・アルミ板・ステンレス板)を曲げる専用の機械(ベンダーとかプレスブレーキと呼ばれています)を使います。 曲げる回数が多い製品は、作業が進むにつれて徐々に形状が複雑な立体になっていきます。 曲げる順番を考えずに曲げて行くと金型が外せなくなったり金属板が機械にぶつかってしまうなど曲げられない箇所が発生してしまう場合があります。

特に幅が狭く深い曲げを行なう時は金属板が機械や金型(曲げ型)にぶつかってしまう可能性が高いので、通常とは違う機械のセッティングが必要になります。

金型を留めている中間板に金属板がぶつかってしまうことが想定される場合は、中間板を外して金属板が中間板に当たらない様なセッティングを行います。

箱の四隅に板金の切り口が出ない曲げ加工

精密板金加工で金属板(鉄板・アルミ板・ステンレス板)を使ってケース・箱・筺体・蓋を作る場合、単純に曲げた状態では四隅に板金材料の切り口が見えてしまいます。

四隅を溶接して仕上げない限りスポット溶接・ネジ止め・カシメなどいずれかを用いて固定したとしても、必ずどちらか一方向の切り口は表に出てしまいます。

外観を気にしない場合は別ですが、絶えず人の目に触れる製品などは箱の四隅に板金の切り口が出ない曲げを使う事により外観の見栄えを上がられます。

精密板金加工の切り起こし・曲げ・バーリング加工

精密板金加工で作られた部品は、大抵の場合それぞれ組み立てて一つの製品になります。そこで設計者は短時間で組み立てられる様に工夫をこらしています。 複数の部品を一つにまとめる為に曲げを多用したり、特殊な切り起こしを使ったり、様々な工夫が図面から伝わってきます。 しかし、設計に時間を掛け部品の点数が減り見た目はシンプルになったとしても場合によっては板金加工が複雑になり工程数が増えてしまい逆にコストアップになる場合も考えられます。 我々はできるだけコストが掛らない加工方法について図面を頂いてからご提案をさせて頂くのですが、全体が決まってしまった後では変更できない個所が出てきてしまう場合もあります。 できるだけ設計の早い段階にご相談頂ければ最新の加工方法なども含めてご提案できると思います。

金属板の板厚分だけ曲げる加工「段曲げ」

金属板(鉄板・アルミ板・ステンレス板・銅板・など)の板厚分だけ段差を付ける曲げ加工があります。 階段の様に曲げることから「段曲げ」と呼んでいます。汎用の(標準の)金型を上手く組み合わせて使うことにより専用の金型を作らなくても加工することが可能です。

「切り起こし」という板金の曲げ加工

金属板(アルミ板、ステンレス板、鉄板)のシャーシや蓋に部品の固定や補強目的で金具(L金具など)を取り付けることがあります。 金具を取付けるにはネジ・リベット・溶接などの方法がありますが、いずれの場合にしてもL金具を別部品として作る必要があります。 しかし、条件さえあえばL金具を別部品とせず、シャーシや蓋の中で(同じ材料で)曲げによって作ることができます。 これを「切り起こし」と言っています。L金具の様なシンプルな形状が基本ですが、「切り起こし」が他の加工分や曲げに対して干渉をおこさなければ多少複雑な形状でも曲げによって作ることができます。

専用の曲げ型を作らず円弧に曲げる

金属板(鉄板、ステンレス板、アルミ板、等)を曲げるには正確に位置を決めなければなりません。 一昔前まで曲げる位置は物差しで測り金属板に直接書いていました。 ハンドプレスや蹴飛ばしを使い人の感覚で曲げていた時代です。 現代はバックゲージと言うNC制御(コンピューター制御)の位置出し装置が曲げる位置を正確に決めてくれるので精度はバッチリ出せます。 そこで、その機能を応用することで専用の金型を作らずに金属板を円弧に曲げることが出来ます。 曲げの圧力を調整しバックゲージを細かく動かしながら金属板を送り込むことで好きな大きさの円弧(R曲げ)に曲げることが可能です。 この加工方法は時間と手間が掛るので量産品には向きませんが、試作や少量の製品には適しています。

ヘミング曲げ(あざ折)という金属板の曲げ方について

精密板金加工の製造工程の中に金属板(鉄板、ステンレス板、アルミ板、銅板など)を曲げると言う作業があります。 精密板金加工の場合は直角、鋭角・鈍角・R曲げ(曲線)までいろいろな角度で金属板を曲げます。 その中でもヘミング曲げは鋭角に曲げさらに押し込んで平らに潰してしまう曲げ方です。この曲げ方を使用するメリットとしては折り曲げた部分の板厚が倍になるので補強になります。 金属板の板厚が薄い場合は外周がカミソリの様になります。そのままだと怪我をする場合があるのでヘミング曲げを使い外周の切り口を内側に向けることにより怪我を防止できます。

NC制御付きターレットパンチプレスについて

NCT(NC制御付きターレットパンチプレス)はプレス加工の仲間です。NCT加工はプレス加工ですが金型の使い方に特徴があります。 一般的なプレス加工は製品に合わせた専用の金型を作る必要があります。 NCT加工は基本となる58種類の金型の組合せによって金属板(鉄板、ステンレス板、アルミ板、など)を加工します。 NCT加工機に装着する金型の形状は大きく分類すると●・▲・■の三種類です。 組合せをプログラムすることにより金属板を少しずつ移動して打ち抜く方法で加工が行えます。 基本的には金型の組合せにより加工ができますが全てに対応できる訳ではありません。 特殊な穴や絞りなど金型の組み合わせで対応ができない場合は金型が必要となります。

レトロな雰囲気万点の加工機;ケトバシ

工場内の一角に古めかしい機械が並んでいます。こう見えても立派に現役の加工機です。 これは「ケトバシ」と呼ばれるこの加工機は昔からあるプレス機の一種で動力源は人間の足が蹴飛ばす力です。 工場内を見渡すとコンピューター制御された加工機械がズラリと並ぶ中、鉄色むき出しのその風貌は思いっきりそこだけ時間が止まったかの様にレトロ感が漂っています。 ケトバシは力加減も位置決めも人任せのプレス機なのですが、これが意外と凄いのです。 金属板を加工する会社なら多分一台ぐらいは工場の中にあると思います。 用途にあった金型を装着することによって抜き、曲げ、絞り、刻印などコンピューター制御の加工機では条件が合わず出来ない加工や追加工などケトバシはそれなりにこなせます。見た目は古そうでも大切な設備の一つです。

精密板金加工で使う工具「錐(きり)」について

錐(きり)とは、金属板(鉄板、アルミ板、ステンレス板、銅板、など)に穴やねじを加工する為の工具です。 穴をあけるだけの錐を「ドリル」と呼び、穴の中に雌ネジを加工する錐を「タップの錐」と言っています。 ドリルは「ボール盤」という機械に装着し、タップの錐はタッパーと呼ばれるねじを加工する専用の機械に装着して使います。 一般的なボール盤は一定方向だけの回転ですが、タッパーは加工が始まると錐が右回転で穴の中に入りネジを加工します。ねじの加工が終わると逆回転をして穴の中から出来きます。

鍋ネジと皿ネジの違いについて

ネジには多くの種類があり用途によって使い分けられています。 モノ作りに関係していない人にとって、ネジなどあまり興味がないと思いますが、そんな方々に比較的世の中で一般的に使われている鍋ネジと皿ネジを説明します。 ネジの頭が鍋の様な形をした物が「鍋ネジ」、ネジの頭がお皿の様な形をした物を「皿ネジ」と言います。 身の回りを見渡してみれば、どちらかのネジが使われている物を見つけられるかもしれません。

薄い金属板にネジを加工する

精密板金では、金属板(鉄板・ステンレス板・アルミ板・銅板・他)に雌ネジを加工することを「タップを立てる」とか「ネジを切る」と言っています。 これは雄ネジが回転しながら通る溝を金属板に加工することで、溝と溝の間隔をピッチといい、それぞれネジのサイズ(直径)によってその幅は異なります。 一般的に細いネジの方が狭く、ネジが太くなって行く程溝の幅は広くなっています。 ですから薄い金属板を使う場合は、ネジの直径が太くなればなるほど溝は少ししか作れません。 例えば1mmの金属板に直径3mmのタップを立てると出来上がるネジ山は約1~1個半程度です。 溝の数が少ないとネジを締めつける力に耐えられずネジ山が壊れてしまうことがあります。 この様な場合はバーリング加工と言う筒状の絞り加工をしてからタップを立てることによって、山数を増やし薄い板でも安定したじネジ止めを確実にします。

ウエルドスタット(溶接スタット)自動溶接機

ウエルドスタットとは、金属板(鉄板、ステンレス板、アルミ板など)に専用の溶接機を使ってネジやスペーサーを溶接加工することです。 一般的な溶接と比べ金属板の表面に与えるダメージが少ないことから操作パネル(フロントパネル)など化粧面の裏側や箱の内側に部品やプリント基板を固定する場合に良く使われています。

スタット(ネジ・スペーサー)の供給から加工までを行なう自動機を使用している時、 作業者は加工データーを加工機に直接入力することも出来ますが、入力ミスを防ぐ為、 専任のプログラマーが作った加工データーをサーバーからダウンロードして作業を行う仕組みを採用する場合もあります。

この加工データーはCAD上で確認作業を終わらせているので、作業者は決められた確認作業を行うだけです。 結果的に作業者が現場で図面を見ながら考える時間が無くなり試作や1個単位の注文に対しても自動機で対応できるので品質は安定しています。

ウエルドスタット(ナット・ビス)を使った加工

ナットやビスの圧入加工は板金板(アルミ板、鉄板、ステンレス板など)に穴をあけてナットやビスを差し込んでから加圧します。

その為、板金板の表面に加工痕が残ることから製品の体裁面にはあまり適さない加工です。 それに比べウエルドスタットは専用の自動機を使い溶接で板金板に取付けるので、操作パネルの裏面に直接スペーサーやビスを溶接しても表面は加工の痕跡が残らずフラットで綺麗な仕上がりになります。

精密板金加工と機械加工(切削加工)

一般的に流通している金属材料の形状は、板か、立方体か、棒状の形をしています。 精密板金加工は、薄い金属板(鉄板・アルミ板・ステンレス板・真鍮板・銅板など)を使っていろいろな形の物を作ることが得意です。

金属の塊を削って物を作るのが得意なのは機械加工(切削加工)です。 板金加工と機械加工がお互いの持つメリットを上手に活用して協力しながら物作りをしています。

箱の様な簡単な物を作る場合は、金属の塊を削って作る機械加工より金属板を使って作る精密板金加工の方が比較的早くて費用も安くすみます。しかし、精密板金加工の機械精度では、要求された精度が出せないような場合は機械加工を行います。

機械加工で作った歯車・ギア

金属板(アルミ板・ステンレス板・鉄板など)を使わない加工品や購入品の注文も多く頂くのでいろいろな品物を目にします。

精密板金・小さな物の加工

精密板金加工は金属材料(鉄板・アルミ板・ステンレス板・銅板など)を使ってオーダーメードで大きさや形の異なったいろいろな物を作ります。

金属板・板金材料の表面に文字や記号を印刷する

金属板・板金材料(鉄板・アルミ板・ステンレス板)の表面に文字や絵を印刷する場合はシルクスクリーン印刷をします。

アルミの表面にヘアーライン加工をしてシルクスクリーン印刷で文字を印刷した製品は、たくさん生産されています。

ここで、「ヘアーライン加工」とは、目の細かいサンドペーパーの様な物を使いアルミやステンレスの表面に細いキズを一定方向に付ける加工をいいます。

滲んだり擦れたりしない特殊なインクを使う場合は別として、金属表面にインクを乗せただけではいずれ文字は消えてしまいます。 シルクスクリーン印刷は印刷した物を窯に入れて焼き(熱を加え)インクを定着させるので印刷面を濡らしたり擦っても文字が消えたり滲んだりすることはありません。

塗装後にシルク印刷や彫刻

精密板金加工で作った金属部品の中でも装置の操作部(フロントパネル)や背面の(リアパネル)の多くは塗装後にシルク印刷や彫刻をします。 使われる材料は、鉄板・アルミ板・ステンレス板・銅板・真鍮板などですが、ステンレス板を除いて大抵の場合は塗装などの表面処理を行います。 特に鉄板SPCC(冷間圧延鋼板)は表面処理をしないでそのまま放置するとすぐに錆びてしまうので必ずメッキや塗装を行います。

最近は、環境問題への取組みとして、クロムフリーと言う鉛を含まない環境に優しい材料を使います。

この材料は、鉄板ですが板の表面にメッキ処理がしてあるので加工後に改めてメッキをすること無く素材そのままで使えます。 メッキの工程を省けることから短納期やコストダウンに適した材料です。

精密板金と塗装のマスキング

1.5mmのアルミ板を使い精密板金加工によって箱を作ります。箱には、メラミン樹脂塗装とシルク印刷がしてあります。 本体と蓋の隙間(クリアランス)は約0.1~0.2mm程度です。 箱の表側と内側を塗装すると、本体と蓋が重なりあう部分の塗装が厚くなることがあるので0.1~0.2mmの隙間では、組合せにくくなる場合があります。 そこで予め本体と蓋が接する面に塗装が着かない様にしてから塗装をします。 この様に金属板に対して部分的に塗装を付けないことを「マスキング」をすると言っています。 マスキングはスタットボルトやタップなどに塗装が付着してネジがしめにくくならない様にとか、電気的に絶縁したくないなどを含めネジ部にもマスキングすることができます。

ネジを加工する機械・タッピングマシン(タッパー)について

鉄板・ステンレス板・アルミ板など金属にネジを加工する機械をタッピングマシン(タッパー)と言います。 精密板金のネジ加工は、金属板に加工したいネジのサイズに合わせた下穴をあけてそこにタップと言うドリルの様な専用の工具を回転させながら差し込み材料を削りながらネジを作っていきます。 タッパーは作業者が切削油を付けながら加工をするので、効率を考え自動的に切削油がタップと材料に掛かる仕組みを工夫して全てのタッパーに取付けたりします。 ネジの加工忘れなどが無い様にデジタルカウンターも取り付けて作業者が確認を行いながら作業を進めています。

皿加工の先にバーリング加工をする

皿加工とバーリングタップの加工を組合わせた特殊な加工方法です。 落とし込みバーリングとかバーリング加工後上部皿取りの事など図面上の指示は色いろとありますがいずれにしても皿加工の先にバーリングタップを作ります。 板厚の薄い鉄板・アルミ板・ステンレス板などで作ったカバーやパネルなどを皿ネジで止めたい場合いこの加工が必要になります。 例えばM3の皿ネジを使用したい場合で1mmの板に規程の皿加工を行うと皿ネジの底の部分(ネジが無い部分)が板から飛び出してしまい止める側にぶつかりネジが締められなくなってしまいます。 そこであらかじパネルやカバーから飛び出した皿ネジをかわす為にシャーシ側に皿を加工してその先にバーリングタップを加工することでネジが止まる様になると言う仕組みです。

絞りの中に作るバーリング加工

バーリング加工:CGシュミレーション画像 は穴の周囲を立ち上げ成形加工するものです。 主として小径のものはタップを立てる(ネジを加工する)などに使われます。 通常バーリングはNCT加工機で成形しますが、板金の縁に近い場所や曲げ後にしかバーリング加工が出来ないなどNCTが使えない場合はケトバシを使います。 しかしケトバシはふところ(加工出来る範囲)が狭いので加工出来る板の大きさに加えて、曲げた後の場合ではさらに高さにも制限ができてしまうので使える範囲が限られてしまいます。 このようにNCT加工機もケトバシも使えない場所にバーリング加工をしなければならない場合。比較的ふところが深く高さもあるインサートマシン(ヘガー)を使ってバーリング加工を行います。

金属板に部品を固定するポップリベット

精密板金加工は、金属板(アルミ板・ステンレス板・鉄板など)を切断・折り曲げ・溶接などを行い、いろいろな形の物を作ります。 しかし、折り紙とは違い一枚の金属板を曲げて加工できる形状は限られています。 そこで、作りたい物(完成形)を出来るだけ可能な最小単位に分割して後で組み立てます。 組み立てる時に部品同士を固定する方法として、溶接、ビス止め、カシメなどがありますが、ポップリベットを使った部品の固定方法もあります。 メッキ処理や塗装処理をする板金部品に対して、処理前にそれぞれの部品や購入品を取り付けてしまうと、部品が溶けてしまったり処理が付かない部分が出来たりなど問題が生じる場合があります。 この様な場合は、処理後に部品を取り付けることになりますが、専門的な技術を必要とせず比較的簡単な作業で取り付けが行えるのがこのポップリベットです。

板金材料の縁に近い圧入加工について

精密板金加工は、薄い金属材料(鉄板・アルミ板・ステンレス板)を曲げたり溶接するなどしていろいろな形の物を作ります。 出来上がった板金製品にはネジを使って電子部品や電子基板などを組み込みます。 多くのネジを一本一本指で押さえて組立るのは大変な作業です。 組立作業を容易にする為に始めから板金製品にネジを取り付ける加工があります。 これは板金材料に下穴をあけてその穴に専用のネジを打ち込み固定する圧入加工(カシメ加工)の一つでスタットネジ(カシメネジ)などと言っています。 板金製品に直接ネジが付いている状態で配線や組立作業が出来るのでとても便利な加工方法ですが金属板にネジを押し込むという特性上押し込んだ時の圧に耐えるだけの余肉(材料)がネジの周りに残っていなければなりません。

切り口からギリギリの位置にスタットネジの加工指示がある場合、スタットメーカー推奨の圧を掛けると周辺が大きく変形してしまうのであえて余肉を付けて加工後に切断をするという方法をとります。あくまでもお客様の了解を得た上での加工です。 極端に板の縁に近い場所にスタットネジを付ければネジを押さえている周りの板金材料が少ないので取れやすいことは確かです。できればこのような設計は避け頂けられた方が良いと思います。

4.2 文書化に関する要求事項

精密板金で使われている図面(設計図)の管理について

物を作る為には、作る人に対してその詳細な情報を伝えなければなりません。図面は設計者の意思を作り手に伝える手段です。 その役目を果たすのが図面(設計図)です。

図面は、紙の縁近くに図面枠という四角い枠を描き、その囲われた線の中に作りたい物の形状と大きさを描きます。 一般的な図面の識別情報として図面番号・品番・品名・工番などが書かれています。 そのほかに表面処理や材質などの情報も書かれています。

そこで図面は誰が見ても(何処の会社で作っても)同じ物が作れるように第三角法という投影法によって描かれています。 物体を正面、側面、上面、の3方向から見た図を描きます。 一般的には一番重要な面を正面として描きその真上に上から見た形、その真横に横から見た形を描く様にします。 そして精密板金加工は、この図面に書かれた絵を立体の構造物に作り上げて行くわけです。 物づくりにおいて、図面の管理も大事な仕事のひとつです。

7.3 設計・開発  精密板金加工で使うCAD/CAM

精密板金加工で使うCAD/CAMは、設計や製図で使うCADとは違います。 製図された図面から、加工に必要な展開図をつくるためににCADを使います。 精密板金業界にCADが導入される以前はもちろん展開図は手書きが当たり前、確認作業を含めて相当時間が掛かっていました。 CAD/CAMとはCADで作成した展開図をCAMで加工機用のプログラムにして加工機に転送します。 CAD/CAMオペレーターは、パソコンの操作技術よりも自社の保有金型や加工技術を熟知して最適な加工を目指したプログラム作りが要求されます。

7.5.5 製品の保存;材料は安全と品質を考えて保管

梅雨に入り局地的な集中豪雨による被害が報道されています。台風や地震も含め自然災害に対する備えは大切です。 予知が難しいとされる地震に対して大切な従業員と周辺地域の安全が確保できるよう常に準備と訓練が必要です。

地震発生で怖いのは物の転倒や落下による下敷きです。 工場の中には金型や材料である金属板(鉄板・アルミ板・ステンレス板・銅板)など重量物が沢山あります。 転倒してきたら人が支えることは出来ません。 金属板の標準的なサイズは3×6(さぶろく)1,829×914mmで、その重さは板厚が0,8mmの鉄板なら一枚約10Kg位になります。 まとまれば相当な重さになります。精密板金工場内でよく見かける金属板の保管方法は、壁に立掛たり木枠を利用 して水平に積み重ねるなどの方法です。 特に怖いと思うのは水平に積み上げた材料です。 崩れ出したら一枚10Kgもある数ミリの金属板が何枚も勢い良く飛び出してくるので想像するだけでも恐ろしいです。 その中でも金属板の保管は、荷崩れやキズ・変形防止の為に自動倉庫を使っています。

7.6監視測定機器の管理;精密板金加工で使う計測器について

精密板金加工で使う計測器には、「ノギス」「鋼尺」「ハイトゲージ」「三次元測定器」などがあります。

ノギスは、細長い形をしていて、これ一本で長さ・厚み・穴の大きさ・奥行きなどを測ることができます。 先端に付いている口ばし状の部分をスライドさせて測ります。製品は多数の工程を経て作られるので一つ一つをしっかり計測して行かないと小さな誤差の積み重ねが製品の品質を大きく下げる結果に繋がります。もし計測器の精度が狂っていたら大変なことになります。 社内にある全てのノギスを定期的に校正しノギスの精度を維持し取扱や保管に関しても従業員に徹底しています。

製品の品質を保証するために用いるノギスは、何年も校正しないままの使っているとしたら、いずれ信用を失うことになるかもしれません。 そのために定期的な校正による計測器の管理が必要です。ISO9001では、7.6監視測定機器の管理で要求されています。

8.3 不適合製品の管理の例;NCT加工機の材料裏キズ対策について

作業中に板金材料(鉄板・アルミ板・ステンレス板・銅板)の表面にキズを付けない様に注意を払います。 板金材料の表面は、完成品の化粧面や外観となる部分が多く出来るだけ加工の際に余計なキズを付けたくないからです。 特に材料の生地そのままの風合いを生かして使われるメッキ処理などの場合は、一切キズを付けることが出来ないので保護シートを表面に貼った状態で最後まで加工を行います。 表面ばかりに意識がいってしまうとついつい疎かになりがちなのが、裏面の取り扱いです。 裏面にキズが付けば品質も含め製品全体の価値が下がってしまいます。 材料を引きずりながら取り出したり、半製品同士を重ねたまま移動したり、加工中を含めいろいろな場面で裏キズが着く可能性はあります。 中でもNCT加工機は絶えず加工機内で材料を引きずり回すので材料の裏面にキズがついてしまう確率が非常に高いです。 そこで対策として加工テーブルにブラシを使い裏キズの防止をしています。 ISO9001では、客先や市場で発生する不具合、クレームの管理はもちろんのこと、製造工程で発生する、こうした傷・打こん、寸法違い、材料違い、美装違いなどの不適合についても管理します。

金属板・切断面のバリ処理

精密板金加工は、金型やレーザーを使って金属板(鉄板・アルミ板・ステンレス板・銅板など)から必要な形を切り取ります。 その時、金属板の切り口には「バリ」といわれる指で触ると多少引っかかる様な出っ張りが発生します。 バリの処理は工程が進み形状が複雑になってから行うと作業性が悪いので、金属板が平らな状態で行います。 一般的に行われているバリの処理は、ヤスリ・エンドレス・バリ取り機といったバリを削り取る工具や機械を使います。 これ以外の方法として、NCTの金型を使ってバリを潰すという処理も行なわれたりします。

ステンレス板のエッジ(切断面)処理

ステンレス(SUS)製シャーシ(箱・ケース)のステンレス板のエッジ(切断面)処理についてです。 ステンレスは表面に光沢もありそのままでも十分綺麗なので表面処理(塗装やメッキ)などをせずに使用されることが多い材料です。 ステンレス板は板の厚さが薄くなればなるほどカミソリに近い状態になることも特徴の一つです。 加工をしたまま切断面に何も処理をしない状態で扱うと人の手や配線などが触れて事故の原因にもなります。 そこで、切断面に出来たバリや鋭角な部分をヤスリなどで仕上げて取り除くのが一般的な方法ですが、板の厚みが薄くなると仕上げをすることによって切断面がさらに鋭くなって危険になる場合もあります。 その様な場合は切断面が表に出ない様に折り曲げて内側に向けてしまう方法と、 切断面にカバーを付けてしまう方法があります。 単純に仕上げただけの切断面とは違い完全に切断面を隠すことが出来ます。

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